顧客の立場から思うところを記します。
目次
1.身に付けて欲しい能力
・ITの専門知識
・顧客の課題を発見し解決する能力
・顧客の理解力を知る
・顧客に誤解されずに意図を伝えるにはどうしたらよいか?
1.身に付けて欲しい能力
コンサルタントの定義として、「コンサルタントとは、顧客の課題解決を支援すること」と『コンサルタントとは何か?』で書きました。
そして、「ITコンサルタントとは、『ITの知識と力』によってコンサルティングする人です」とも書きました。
この定義と説明で推測がつくと思いますが、ITコンサルタントに求められる能力は次の3つに整理されます。
最初からすべてに長けた方はいませんので、最初は目標というくらいにお考えになってください。
1.ITの専門知識
2.顧客の課題を発見し解決する能力
3.顧客と分かりやすい言葉で会話するコツ
それでは3つの能力をそれぞれ簡潔に説明しましょう。
1.ITの専門知識
ITの発展は日進月歩ですね。
最新の状況について深く理解することは不可能に近いです。
しかし、ハード、システム、ネットワーク、代表的なソフトウエアの現状について、幅広い情報を得ようという姿勢は常に大切です。
また、複数の領域について、最新の情報を追い続ける探求心を持ってほしいです。
2.顧客の課題を発見し解決する能力
この問題発見解決能力については二つに分けて述べたいと思います。
A.【客観的な論理力】 顧客の業種と仕事内容に関心を持ち理解すること
顧客すら気付かない課題、または顧客が漠然と感じつつも明確化できていない課題を発見するには、業種への幅広い理解が前提となります。
欲を申せば、顧客以上に仕事内容を俯瞰できるようになりたいものです。
第三者の目で見た客観的な課題を基に、論理的な解決策を提示しなければいけないからです。
また、経営層に提案する際は、IT用語だけでなく、論理力を駆使したビジネス用語を使えるようになってほしいです。
最新の経営学が話題となったときに、幾つかの例を挙げられるくらいの知識と見識を持ってください。
B.【コミュニケーション能力】 顧客、SEなどの協力者と良い関係を作ること
顧客との仕事上の討論で信頼を得るには、日々の何気ない会話や挨拶が大切です。
ここで生まれた顧客との信頼関係が、円滑な業務につながります。
また、要件定義で定めた内容をシステムにしてくれるSEや、ハード導入業者との良好な関係も必要です。
しばしばおきる要件定義の変更、納期の変更、価格の見直しなどが多いからです。
IT関連の仕事といえば「技術労働」が想起されますが、意外と「感情労働」の局面があるものです。
仕事が予定通りに進まないときにでも、自分をコントロールできるメンタル面での強さと柔軟さが必要です。
3.顧客の理解力を知る
顧客側のIT担当者は、ITに長けた社員が選ばれる。
とは限りません。
残念ながらこれが現実です。
仮にかつてITに詳しい担当者であっても、日進月歩のIT業界において知識はどんどん古くなります。
現代のIT技術者が知っていて当たり前の言葉さえも担当者が知らなかったり、
知ってはいても数十年前の意味で理解していたということがあります。
このことが、出会って数十日してから分かってくるということさえあります。
「ITコンサルタントと担当者の言葉には齟齬が生じて当たり前だ」と思っておいたほうが良いくらいです。
特にこんな担当者の場合は気を付けてください。
・IT初心者なのに、知らないことを知らないと言えない担当者。
→ 担当者がどこまで理解しているかを確認しながら会話してください。
・何年も前に、担当者だったか、SEやプログラマーだった担当者。
→ かつての知識が頭にこびりついているので新たなシステムを誤解することがあると理解してください。
・部下、上司、ITコンサルタントに対する口調が大きく異なる担当者。
→ コンサルタントの言葉が全社に正確に伝わらない恐れがあるので、決めごとはメモに残しましょう。
さて、本題に戻ります。
顧客に誤解されずに意図を伝えるにはどうしたらよいか?
顧客側に立って、いくつかコツを述べたいと思います。
このコツはITコンサルタントに限ったことではありませんので説明はしませんが、ご興味がありましたら、書籍やネットでお調べ願います。
1.
概念と手順は、図にして伝える。
2.
大きな全体的な概念とその中の部分的な概念との階層の違いを明確にする。
3.
日常的な比喩を用いて説明する。
4.
「同じ質問でもよいので、分かりにく時は何度でも質問してください」と最初から何度か伝えておく。
顧客との信頼関係を築くことの重要性については、コンサルティングの体験を積めば積むほど気付いてくることでしょう。