こんにちは。
梅雨入りした地域も多いことでしょう。
「梅雨」の語源は諸説あるようですが、「梅の実が熟すころに雨が降るから」という語源が情緒があって気に入っています。
なお、英語では、”the rainy season ”というそうです。
ということは、英語圏でも「梅雨」があるのですね。
今回は、Google・Yahooなどが取り入れている人事制度「1on1」について、方法と効果を書きます。
「1on1」とは?
「1on1」とは、上司と部下による二人だけの定期的なミーティングのことです。
通常の集団ミーティングは、多人数ですね。
部署の共通課題を確認するにはこのミーティング形式が適しています。
一方、一人ひとりは経験も性格も役割も目標も本来は異なります。
1on1は、各人の差異を尊重したミーティングとなります。
1on1ミーティングをする頻度は、例えば月に1回1時間とか、隔週合計3時間といった具合です。
大切なのは、上司と部下が「定期的に」話し合うということです。
「定期的じゃないけど、必要に応じて業務のことを、毎日二人で話しているよ。指示したり、相談を受けたりしながらね」
「時々、居酒屋で仕事のことや、時には人生論を話し合っているよ」
とおっしゃる方も多いことでしょう。
しかし、思い出してみてください。
その話し合いの中身は、上司から部下への仕事内容の伝達であったり、具体的な仕事に関するアドバイスではないでしょうか?
もしかすると、注意事項やお説教になっていないでしょうか?
ここでご紹介する「1on1」は、極論を書くならば、日々の業務内容のことは話さなくても良いのです。
「え? じゃあ何を話し合うの?」
というご質問が挙がりそうですね。
1on1で話す内容とは?
例えば、このようなことを部下に語ってもらいます。
・最近、やりがいを感じていること。
・最近、仕事で困っていること。
・自分の強味と弱味、換言すると、伸ばしていきたい点と足りない点
・仕事上、上司や会社から支援してほしいこと。
・職場環境の雰囲気や制度で疑問に感じていること。
・会社全体が目指している目標と自分の仕事とのすり合わせ。
・今後すぐに取り組みたい仕事。
・数年後に、実現していたい自己像。
・この会社で頑張っていく上での希望や戸惑い。
・健康状態や趣味や家庭環境も含めた個人的な相談。
いかがお感じでしょうか?
目先の業務内容にとらわれず、広い領域を話題にしますので、まるでコンサルタントやカウンセリングみたいだとお感じになられたのではないでしょうか?
部下がクライアントで、上司がカウンセラーみたいですね。
或いは、恩師と生徒みたいですね。
1on1の目的とは?
1on1は、上司が部下に自分自身を振り返る機会を与えます。
結果として、「部下の成長を促すこと」が、第一の目的です。
第二には、「上司と部下とのコミュニケーションの円滑化」です。
第三は、「会社全体と一人ひとりとの関係性の点検(すりあわせ)と再構築(共有化)」です。
1on1をうまく行うためには?
上司と部下との信頼関係が基本にないと、最初はてこずるかもしれません。
とは言っても、最初から信頼関係ができているわけではありませんね。
そりの合わない上司・部下もいることでしょう。
そんな場合は、1on1をきっかけに、お互いの関係が築き上げられるといいですね。
さて、1on1ミーティングが上手くいくには、信頼関係を築くことが大切ですが、そのために大切なことは何でしょうか?
どんなミーティングを目指せば良いでしょうか?
部下側からすると、
・「何でも言えるミーティングであること」
・「何を言っても叱責されないミーティングであること」
が大切です。
一方、上司側からすると、
・「部下が心を開いて自分に話をしてくれるようなミーティングであること」
・「部下の話に耳を傾けることで、部下が自らの課題と目標に気付くミーティングであること」
が大切です。
ちょっと抽象的過ぎますね。
次の章では、上司の心構えとテクニックを具体的に書きますね。
1on1の心構えとテクニックとは?
まずは、上司の心構えを記します。
次の3点をご理解願います。
1.
部下は会社の歯車ではありません。
当然、自分の道具ではありません。
2.
部下も一人のサラリーマンとして成長しながら(時には波もありますが)、仕事と会社にかかわっています。
結果として、人としても成長できます。
そのために、自分が部下にできることは何かを考えましょう。
3.
忙しい日々、1on1を定期的にすることは大変でしょうが、部下の成長にとって1on1は当面の業務よりも大切な機会となることが多いです。
次は、テクニック8点を記します。
1.
部下の話をさえぎらずに聞いてください。
(心理学の領域では、「傾聴」といいます)
“もともとカウンセリングにおけるコミュニケーション技能の1つ。
傾聴の目的は相手を理解することにある。
それにより、話し手がが自分自身に対する理解を深め、建設的な行動がとれるようになるようサポートする。
傾聴で大切なのは次の3つとされる。
・言葉以外の行動に注意を向け、理解する(姿勢、しぐさ、表情、声の調子など)。
・言葉によるメッセージに最後まで耳を傾け、理解する。
・言葉の背後にある感情も受け止め、共感を示す。”
(ネビゲートビジネス基本用語集より)
2.
部下の立場と気持ちをまずは受け止めてください。
この姿勢が部下に伝わると、部下は心を開けてくれます。
(両者に「ラポール(=信頼関係)が生れた」といいます)
”(ラポールとは)主として2人の人の間にある相互信頼の関係。すなわち,「心が通い合っている」「どんなことでも打明けられる」「言ったことが十分に理解される」と感じられる関係。”
(ブリタニカ国際大百科事典より)
3.
上司がしゃべる時間と部下がしゃべる時間の割合は、2対8を目指してください。
上司は聞き役です。
1on1は、部下が自分を振り返ってしゃべることに意味があるからです。
上司は、引き出し役に徹します。
4.
「なぜ? どうして?」と問いかけも部下に内省を促すきっかけではありますが、多用は避けてください。
何度も問われると、叱責されているように感じることがままあります。
「なぜ?どうして?」よりも、「どのように?」「どんな感じ?」「例えばどんなこと?」という問いを入れるとよろしいでしょう。
5.
具体的な業務の話は少なめにしましょう。
業務の話は、仕事中にいくらでもできますから。
6.
時々、メモを取りましょう。
部下からすれば、上司がメモを取ってくれる様子を見ることで、自分に関心を持ってくれていると感じるものです。
また、メモを数か月後ご覧になると、部下の変化が読み取れます。
7.
ミーティングの時間は、多少の長短はあっても、決められた時間で行いましょう。
上司の問いかけに、部下が無言であったとしても、答えを急かせないように。
ましてやミ―チングを打ち切ることは絶対に避けねばいけないことです。
無言の時間は、部下が自分を見つめる意味ある時間なのです。
逆に時間を長く延長するのも避けたほうが良いです。
部下がアレコレと日常の談話のように語るのは信頼感の表れとも言えますが、決められた時間内で、部下自身が事の軽重を判断して話すことも大切ですから。
いつでもできる談話によって、本当は見つめるべき自己から目をそらす時間になっては無駄です。
また、部下が心を開いた時は気持ちが開放的になって話がとめどもなく膨らむことがあります。
自分の目標や進むべき道に気付くことは何よりも大切です。
しかし、あくまでも職場での1on1です。
「膨らみすぎた夢」に部下が引きずられないように(現実との落差にがっかりしないように)、予定した時間内で終えたいものです。
8.
本質的な課題や目標が見えてくる瞬間を大切にしましょう。
この瞬間が大切です。
この機会を逃さず、目標を実現するための方策をお互いで考えましょう。
上司は部下に課題発見解決に向かう計画を考えさせるよう促し、一方部下が課題発見解決が出来るために自分が出来る支援内容を上司は考えたいものです。
1on1のまとめ
1on1の在り方と効用を部下の視点でまとめてみます。
1.
「引き出す×引き出される」
日々の業務に追われていますと、目の前の課題にとらわれてしまい、中長期的な視点を持てないものです。
1on1における上司の傾聴によって、部下は強みと今後の目標が自ずと見えてきます。
この目標は上司から与えられたものではなく、自分自身の中から湧いてきたものです。
したがって、部下は解放感をもって主体的に働けるようになります。
2.
「支える×支えられる」
1on1は、上司と部下との共同作業です。
上司に支えられていることを感ずることによって、部下は新た目標を遂行する勇気を持ちます。
信頼感の中で仕事をするほど心強いことはありません。
会社全体の目標・上司の目標・部下の目標、これら3つが共有できるといいですね。
明日からといわず、今日から取り入れてみてください!
最初はぎこちないかもしれませんが、試行錯誤を繰り返すうちにお互い馴染んできますよ。
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7.「1on1」(Google・Yahooなどが取り入れている指導法)が効果的!