19.オードリー・タン台湾IT相が社会を変える

19.オードリー・タン台湾IT相が社会を変える

こんにちは。

今回は、台湾の最年少大臣であるオードリー・タンIT大臣について記します。

ITと社会との関係を大きな視野で、かつは現実的にとらえたご発言が多く、ITコンサルタントの概念を新たな視野で認識していただきたいからです。

 

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まずは:オードリー・タンIT相に関する新しい記事2点のご紹介

 

「ニュース オードリー・タン」でグーグル検索を2021年3月22日にしましたところ、無料で登録不要サイトでは次の二つが上位にヒットしました。

 

1.「デジタル敗戦国」日本に天才IT大臣オードリー・タンは現れるか

LIMO(YAHOOニュース)3月21日→「デジタル敗戦国」日本に天才IT大臣オードリー・タンは現れるか

 

2.台湾オードリー・タン「ハッカーとしての素顔」

東洋経済社ONLINE3月22日→「台湾オードリー・タン「ハッカーとしての素顔」

(『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』(近藤 弥生子著)からご自身が抜粋した記事)

 

今回は、この二つの記事について、それぞれ概略と感想を記します。

 

 

 

【記事 その1】
LIMO(YAHOOニュース):『「デジタル敗戦国」日本に天才IT大臣オードリー・タンは現れるか』の概略と感想

 

次の順で記事の概略と感想を記します。

1.オードリー・タン氏(唐鳳、Audrey Tang)の人物紹介
2.ITと政治との関係

 

1.人物紹介

 

1.1981年4月18日生まれ、現在39歳。ちなみに、小泉進次郎氏と同年齢。

2.幼少時代からコンピューターに興味を示し、14歳のときに学校生活に馴染めなくて中学を中退。

3.19歳のときに、シリコンバレーでソフトウェア会社を起業。

4.米アップルなど世界のIT企業の顧問を務める。

5.フリーソフトウェアの国際化と地域化に対する貢献、オープンソースに関連する書籍の中国語への翻訳を行う。

7.2014年の「ひまわり学生運動」(318学運・占領国会事件)に参加する。
参加団体のライブストリーミングのセッティング、占拠された立法院の模様をライブ配信、各団体の議論の場をネット空間上に立ちあげる。
最近のインタビユーでは「当時の国会はブラックボックスだった」と発言している。。

8.2016年で35歳の時、二度目の政権獲得を果たした民主進歩党の蔡英文政権下において閣僚(デジタル担当大臣)に任命される。

9.2019年1月、アメリカの外交専門誌「フォーリン・ポリシー」で2019年のグローバル思想家100人に選出される。

 

政治家と言うよりも、自分自身を大切に生き、自分らしく生きられる社会を望んで動いていたら、いつも間にか周囲が大臣にしたという感じですね。

 

 

 

2.ITと政治との関係

 

1.記事の概略

 

1.「上翼思考」とは左翼(レフトウイング)か、右翼(ライトウイング)という違いや争いを超えて、ともに上を目指す「上翼(アップウイング)」という意。

2.オードリー発言「「パブリックセクター(行政)よりも、ソーシャルセクター(市民)のほうが有効」。

3.オードリー発言「民主化とは『新しい社会をつくる』ことであり、そのため、社会イノベーションと産業イノベーションの間にも明確な区別はありません」。

4.オードリー発言「とてもシンプルに言えば、『誰とでも意見交換しよう』という考え方です。『誰とでも』というのは、経済的あるいは政治的弱者を除くことなく多様な声に耳を傾けるという意味です」。

5.オードリーが賛同するオープンソースの考え方から一貫して、現在の新しいデジタルの世界観を政治の世界に持ち込んだだけという印象を強く持ちます。つまりオードリーになにか特別な「政治的な信条」があって、それをデジタルやITという「便利なツール」で実現するという構造ではないのです。

6.「民主化とは『新しい社会をつくる』ことであり、つまりは『イノベーション』を起こすことなのです」これが、オードリー・タンの「思想」です。

7.ITと社会や政治は、もはやダイレクトにつながっているのだと思います。つまり「台湾の偉人オードリー・タン」をITの天才かつ政治の天才という、違う世界にまたがる「文武両道」的に捉えてはダメということかもしれません。

8.「A業界ってIT導入が遅れているね」という言い方がありますよね。10年前は確かにその表現でよかった。ただITが重要になればなるほど、「A業界はIT導入が遅れている」は「A業界は遅れている」とほぼ同義になってくるわけです。そしてこの「A業界」を「A国」と置き換えてもよい。

9.昨年、平井デジタル改革担当大臣が日経のインタビューで「日本はデジタル敗戦した」と語ったのは衝撃的でした。これは日本政府のデジタル施策が、すべて失敗したと認めたものです。しかし「日本がデジタル敗戦した」ということは、「日本が敗戦した」ということではないのか。メディアもこの点を全く突っ込まない。
結局、日本政府におけるITは単なる道具・ツールなんですよね。平井大臣もそのように見切っているから、あの発言ができる。日本の政治は、「誰とでも意見交換しよう」いう考え方とはむしろ真逆で、「総合的に判断した」で済んでしまうことも多いですから。
そして、このような状況の日本では、残念ながらオードリー・タンは決して現れないと思います。

 

 

2.記事を基にした感想を記します。

 

1.いわゆるイデオロギーに縛られない発想をオードリー・タン氏はする。

2.「国」のために「市民」がいるのではなく、「市民」のために「国」が存在する。

3.政治・経済・文化の各領域に区分して民主化を果たすのではなく、「新しい社会」を作るという一つの目標をまずは掲げる。

4.皆の共存・協働を目指す。そのためには、強者と弱者を区別せずに皆の意見を大切にする。

5.まずはオープンソースありき。その考えを表現・実行したら、それが政治の領域でも役立った。

6.ITが独立して存在するものではなく、政治・社会と不可分の存在である。

 

AとBの架け橋やツールとしてITが存在するのではなく、ITは既にAとBを覆っていると感じました。

何かを達成するためにITを道具として使うのではなく、ITの思想がそもそも共生・協働・民主なのですね。

 

記事から伺えるオードリー・タン氏の姿は、思想家・哲学者が美術家・数学者でもあった時代の賢者のようです。

 

 

 

以下が元記事の引用です。

「デジタル敗戦国」日本に天才IT大臣オードリー・タンは現れるか(LIMO(YAHOOニュース)3月21日)

 

記者は、鷲尾和彦氏(博報堂生活総合研究所)が行った次のインタビュー記事を参照しながら記していました。

オススメ→「forbes Japan」サイト→『民主化とイノベーションは同義。オードリー・タンが語る台湾の「上翼思考」』。)

 

 

 

【記事 その2】
東洋経済社ONLINE:『台湾オードリー・タン「ハッカーとしての素顔」』の概略と感想

 

 

記事には、まずは〈g0v〉(零時政府)についての説明が記されていました。

活動を表す大切な名称であり概念ですので、〈g0v〉(零時政府)に絞って概略と感想を1~5の順で記すこととします。

 

順序

1.〈g0v〉の説明
2.〈g0v〉を自分なりに換言
3.〈g0v〉のまとめ
4.〈g0v〉の感想
5.記事の冒頭箇所

 

 

1.〈g0v〉(零時政府)の説明を記事の言葉を流用して箇条書きするならば、

 

1.社会問題の解決に取り組む民間のエンジニアをシビックハッカーと名付けた。

2.シビックハッカーの中から、ソフトウェアのソースコードを開放することに関心のある者が集うコミュニティから〈g0v〉は生まれた。

3.〈g0v〉という名称の由来であるgovernmentのローマ字「o」を数字の「0」に変えたのは、「政治をゼロから再考する」というスタンスを表した。

4.モットーは、「『なぜ誰もやらないのだ?』と聞くのをやめて、まずは自分がその『やらない人』の1人であることを認めよう。万能な人は存在しない」。

5.従来の社会運動にテクノロジーコミュニティを結び付けることで、環境や労働など、社会問題をテーマにしたプロジェクトに取り組んでいる。

6.2020年のコロナ禍でマスクマップを開発したのも、彼女(オードリー・タン氏)が〈g0v〉と共に行ったことだ。

 

 

 

2.驚きの感情を言葉に含めながら自分なりに換言するならば、

 

1.政府ではなく民間のエンジニアが、経済・科学物織田ではなく社会問題の領域に対してITを駆使した

2.ソースコードを非公開とせず開放する考え方に賛同するコミュニティーから〈g0v〉が生まれた

3.「政治とは何か」という原点「0」から政治を見直した

4.「万能はシステムにも人にもあり得ない」に基づき、自分や他人の両者をやらなかった人として認めることからスタートした。

5.従来型の社会運動にテクノロジーコミュニケーションを結び付ける手法で、社会問題を再考した。

6.IT行政の長であるオードリー・タン氏が民間の〈g0v〉とともに活動した〈g0v〉の一員として関わった)。

 

3.〈g0v〉をまとめるならば、

 

1.IT技術(テクノロジーコミュニケーション)を社会問題を対象として活用した。

2.民間のエンジニアが中心に公の為に活動する。

3.ソースコードは公開。

この3点が〈g0v〉の本質だと感じます。

 

 

4.感想を記します。

 

1.オードリー・タン氏の主張と行動は、「発想」を超えて「生き方」と言っても良いと思いました。

2.ITとは、単なる技術や道具としての役割を超え、対象と一体化した血肉とも言えるものです。

3.ITをツールとして活かすという発想を超えて、ITと政治を融合させて、社会の隅々で起きている人々の矛盾・困難・貧困・差別を改善できたらいいですね。

4.経営にためのITではなく、社会と人々の生き方変革のためのITです!。

 

 

 

5.以下が元記事の冒頭箇所の引用です。「台湾オードリー・タン「ハッカーとしての素顔」(東洋経済社ONLINE3月22日

オードリーがデジタル担当大臣として入閣した2016年からさかのぼること4年前に始まり、彼女が今でも参加し続ける、シビックハッカー・コミュニティ〔g0v(零時政府)〕(ガヴ・ゼロと読む。以下〈g0v〉と記載)。

シビックハッカーとは社会問題の解決に取り組む民間のエンジニアのことで、台湾における彼らの数は、世界でも3本の指に入ると言われている。シビックハッカー内にもさまざまなコミュニティが存在しているが、その中でもソフトウェアのソースコードを開放する〈オープンソース〉に関心のある者が集うコミュニティから〈g0v〉は生まれた。

数字のゼロを使った〈g0v〉という名称は、政府の略称が、government に由来した〈gov〉であるのに対し、彼らは「政治をゼロから再考する」というスタンスを表したもの。

「『なぜ誰もやらないのだ?』と聞くのをやめて、まずは自分がその『やらない人』の1人であることを認めよう。万能な人は存在しない」。これが彼らのモットーである。私自身も耳が痛くなる言葉だ。

従来の社会運動にテクノロジーコミュニティを結び付けることで、環境や労働など、社会問題をテーマにしたプロジェクトに取り組んでいる。2年に1度、国際サミットを開催したり(2018年には30カ国近くが参加)、総額1000万元以上のシビックテック・イノベーション助成金を発行するなど、その規模は決して小さくない。

オードリーを語るとき、この〈g0v〉は重要なキーワードだと言えよう。2014年の〈ひまわり学生運動〉でもオードリーは〈g0v〉のメンバーとして貢献しているし、入閣後は自らプロジェクトを実行することはなくなったものの、今でも〈g0v〉のSlack(チャットルーム)に入り、やりとりは続いており、

時には問題解決をサポートすることもある。2020年のコロナ禍でマスクマップを開発したのも、彼女が〈g0v〉と共に行ったことだ。

 

ITコンサルタントの対象領域と役割が広がり、さらにはITコンサルタントの概念が変革する時代が、今ここにあるのですね!

 

 

 

 

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